自分らしく生きたい

自分の体験が誰かの生活のヒントになったらいいなと思います

給料日、本屋巡り。

 

 


2023年4月27日(木)

 

 

 

5月の匂いがする。スッと爽やかに鼻をとおる、樹や花の蜜の匂い。風に乗って薫る、瑞々しい草木の匂い。

 


朝起きて、風呂に入って、部屋を整頓・掃除した流れで、前から清潔かどうか気になっていた、彼が部屋から持参した薄手の掛け布団を洗うことにした。よく晴れているから、午後の数時間だけでも乾くだろう。

 


この前の週末は母の一周忌で、私は一昨日の夜、東京の小さな我が家に帰宅。次の日は仕事で、今日は1日置いたスーツケースを片付けた。実家から回収してきた夏服を出して、衣装ラックにかけ、衣替えを済ませた。もうすぐここへきて1年になる。

 

 

 

 


昨日まで降っていた雨がやみ、外は晴天。給料日を迎え、少し余裕を持った財布をトートバッグに入れて、今日はいよいよ推しの本屋を巡る。

 

 

 

SNSを追ってあらかじめ目をつけていた本を、私の思い出作りと、お気に入りの本屋に少しでも応援の気持ちを形として伝えるために、限られた予算を割り振ってそれぞれの店でバランスよく購入、順調にお金を落としていく。

 

 

 

女性が店主の本屋で、展示中のワンカップの写真を撮ってもいいか聞くついでに、色々立ち話をした。というのも前の本屋で男性の店主が、「子供たちも久々の晴れで、外で遊びたくてしょうがないんですよ。雨の間に我慢していた分…体がうずうずしてしょうがないんです。」なんて、朗らかに爽やかに他のお客と話していたから、つい私も誰かと話がしたくなった。

 


本が私にとって贅沢品であること、もっとお金があったらこの素敵なお店で、素敵な本をたくさん購入したいのに、などと、どうしようもない自分の話をしてしまった。だからこそ、一冊一冊が宝物のように大切であること、よく吟味して、その佇まいが部屋に置いておくだけで気持ちがいいものかどうかなんていうことまで考えて購入するのだ、などと一方的に語ってしまった。

 

 

 

 


とにかく私は今、収入が極端に少ない。なんて言ったって、ただのアルバイターだ。24歳になるが、正社員の経験はない。東京に引っ越す前は実家暮らしだった。東京に住む現在、家賃は父に払ってもらっている。最初の数ヶ月間は、誠意を見せるためにも家賃の額を後から父に渡していたが、今は厳しくなって滞っている。まだ金銭的な自立の目処は立っていない。とりあえずこの1年間は父の扶養家族のまま、年間130万円以下で暮らさなければならないから、家賃は父持ちで仕方がないとの結論が、先日私たち家族の間に下された。

 

 

 

 


実家に届いていた、厚生労働省から送られてきた国民年金基金についての案内を、東京の小さな我が家に持ち帰った。軽く目を通すつもりが、25歳で月々の料金について一区切りつくことを知って、しばらく考え込むことになった。

 


ぐるぐるとお金について、年齢について考えを巡らせているうちに、私は正社員の経験すらないまま、この先ずっとフリーターでいるつもりなのだろうかと、私にとっては素朴であり、かつ重大な決断に発展しそうな疑問が浮かんだ。これまで私は、自分の能力を考えると正社員としてやっていける自信がどうにも湧かなかったために、仕事について考えることと言ったら、どうフリーターとしてやっていくかばかりだった。

 

 

 

人生は一度なんだから、やったこともないのに無理だと決めつけて、全く経験しないことがあるのはどうかと思い、正社員くらい挑戦してみていいのではないかと心が傾いた勢いで、お世話になっているバイト先でそのまま正社員になってみようかと思っている旨を先輩に相談したところ、ここはブラックだからやめた方がいいと忠告を受けて、出鼻を挫かれた。

 

 

 

 

 

 

先の話にもあった、女性が店主の本屋で、この間の選挙に投票をしたお客に向けて配っているおまけのポストカードを、私は選挙に行っていないというのにいただいてしまった。嘘をついてもらってしまうのも嫌で、正直に、今回の選挙には行っていないのだと小さな声で打ち明けたが(住民票がまだ実家にあることもあり。)以前は家族総出で選挙には行っていたことを話すや否や、快くつけてくださった。次回は行かねばと思う。やはり、自分が今住んでいる街で投票がしたい。となるとやはり、いよいよ私はどこで、どんなふうに生きていきたいのか、暫定的にでも答えを出していくべきなのかもしれない。

 

 

 

そうこう考えながら、どこまでも青い青い空を見上げて歩いた。少し陽が傾いてきたが、東京の街はそのくらいで寂しくなったりはしない。街は夜まで活気を帯び続け、日々変わりなく忙しなく活動を続けている。少し歩けばどこもかしこも人々の暮らしに溢れている、ちっとも寂しくない、生き生きとした東京のこの街が好きだなぁと思う。